院長のブログ

コロイドヨードとがん細胞・ミトコンドリア

抗がん剤のメカニズム
抗がん剤には、核酸の合成を阻害してがん細胞の代謝を阻止しようとするもの、DNA合成抑制、DNA鎖切断など様々な種類がありますが、いずれの薬でも直接あるいは間接的にがん細胞を攻撃して、がん細胞の活動を阻害しようします。
正常細胞とがん細胞の代謝のわずかの違いを狙いますので当然副作用が生まれる可能性が高くなります。
これらの薬は、がん細胞の働きを攻撃的に抑制しようとし、がん細胞が生まれ続けることや、その性質がどんどん悪化していくメカニズムについては対処できていないと言っても過言ではないと考えています。
そのために腫瘍の一時的な退縮に終始し、再発を繰り返すことになります。

がん細胞の特長
がんの原因は多様ですが、その一つに細胞の中の遺伝子が損傷を受け、それが進行して、がん抑制遺伝子(がんになりかけた異常細胞を自死(アポトーシス)に導く)も損傷され、悪性細胞の増殖の制御が効かなくなることと考えらます。
また最近、細胞の中のミトコンドリアの品質の悪化の程度と、がん細胞の悪化(転移能、浸潤能など)が相関しているという研究がいくつか報告されるようになり、ミトコンドリアの機能低下も重要な因子であると考えられています。
ミトコンドリアは、酸素を消費してATPというエネルギーを産生しますが、がん細胞ではミトコンドリアの機能低下とともに、グルコースを消費してATPを産生する嫌気性解糖系が亢進していることが分かっています(このことについては、別な機会に詳しく説明します)。

ミトコンドリアを活性化させるとがん細胞は自滅する
がん細胞は、ミトコンドリアの機能を低下させ、解糖系のエネルギー産生を亢進している理由は、ミトコンドリアが活性化するとそれが発生する活性酸素によって、がん細胞が自滅してしまうからです。がん細胞は、組織の中の低酸素状態に適応しているので、正常細胞のように酸素がふんだんに入ってきてミトコンドリアが活性化するのを嫌います。

コロイドヨードはミトコンドリアを活性化する
ヨウ素(ヨード)は、ハロゲン化化合物の中でも、外郭の電子を豊富に放出することができ、強い還元力を持っています。また生体のミトコンドリアに特異的に親和性があり、ミトコンドリアの中の活性酸素種を還元します。
大阪大学名誉教授である柳田祥三博士(計算化学物理)は、ヨウ素のミトコンドリア内における強力な還元作用について研究発表されています。
ヨウ素は、正常な細胞や組織にダメージを与えることはないと考えられています。
がん細胞の機能不全に陥っている部分を改善させ、活性酸素によってがん細胞を自滅に誘導すると考えられます。
コロイドヨードをがんの患者さんに投与すると、多くのがんが退縮していきますが、その主要なメカニズムは、ミトコンドリアの活性化にあると考えられます。

参考文献;人生100年時代とミトコンドリアの活性化、生活と技術、第69巻 第3号(2017)

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