院長のブログ

がん細胞とワールブルグ効果

現在、がん細胞では、解糖系が亢進していて、
ミトコンドリアの機能異常が認められています
(解糖系とミトコンドリアについては後ほど説明します)
この現象を初めて発表したのが、
オットー・ハインリッヒ・ワールブルグ(1883.10.08-1970.-8.01)です。
ドイツの医師・生理学者で、1931年にノーベル生理学・医学賞を受賞した
細胞生理学の研究者でした。
彼は、腫瘍(特にがん細胞)のエネルギー代謝の研究を行い、
腫瘍の細胞内において、酸素濃度が低い状況で、腫瘍が発達することを
最初に実証しました。
ワールブルグ効果とは、がん細胞において、解糖系が亢進しているという
特性を言います。今から半世紀以上も前に述べられたことです。
ミトコンドリアの機能異常の原因がワールブルグ効果にあるとされていましたが、
ミトコンドリアの代謝低下が証明されなかったために、
一時はワールブルグ効果が見放されていました。
現在では、研究が進み20年ぶりに解糖系の亢進と
ミトコンドリアの機能異常が証明されるようになりました。
つまり、がん細胞の悪性化(浸潤能と転移能など)はこの両者
(解糖系とミトコンドリア)の機能障害であることが証明されており、
さらにがんの悪性度と、両者の障害の程度とが比例していることが分かりました。
それゆえこの両者の代謝機能が改善されると、がんの悪性度が改善される
ことが期待されています。

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