ワールブルグ効果
今まで、エネルギー物質であるATPとADP、
それを産生する2つの経路、解糖系とミトコンドリア
について説明してきました。
今回は、がん細胞における特異的な変化である「ワールブルグ効果」
という代謝について説明をします。
がん細胞をコントロールすることは、
この代謝系と、それによって発生する活性酸素種(ROS)を
いかにコントロールするかということに等しいと言えます。
それほどに重要なキーワードです。
オットー・ハインリッヒ・ワールブルグ
(1883年10月8日 – 1970年8月1日)はドイツの生理学者、医師。
1931年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
彼は、1955年に、体の細胞が長いあいだ低酸素状態にさらされると、
酸素の代謝障害を引き起こし、大半の細胞が変性や壊死を起こすが、
ごく一部の生存した細胞が癌細胞となり、
そのがん細胞は、酸素の代謝(ミトコンドリア)に障害をもっていて、
解糖系のエネルギー生成経路を昂進させている、
という説を発表しました。(ワールブルグ効果)
近年の分子細胞学的な先端の研究においても、
この2つの代謝経路の障害が、より詳細に分かってきました。
がん細胞の特長は、エネルギーの産生経路の異常
(ミトコンドリアと解糖系の異常)と、
多量に産生される活性酸素種にあると言えます。
つまりこの2つのことを制御すれば、
がん細胞を制圧することができると言っても過言ではありません。
次回から、ヨウ素がそれについてどのような可能性を秘めているのか
について説明していきたいと思います。